脳梗塞の前兆 一過性脳虚血発作 回復しても早めに治療

 脳の血管が詰まって、細胞が壊死し、死亡したり体機能がまひしたりする脳梗塞。このうち、短時間でまひなどの症状が回復する一過性脳虚血発作(TIA)は、後遺症がないだけに軽視されがちだ。しかし、放っておくと重度の脳梗塞を引き起こす可能性が高まるため、専門医は、一時的ではあってもまひなどの症状が出たら診断を受けるように呼び掛けている。

 脳梗塞やTIAは、加齢や高血糖、高脂血症などで動脈硬化が起き、血栓ができやすくなることが原因とされる。TIAの症状は、脳梗塞と同じく運動障害や視野の部分消失、失語などの言語障害が多いが、数分から十五分程度でその症状が消える点が特徴的だ。このため、発症後も医師の診察を受けないままの人が多い。
 日本神経学会理事の鈴木則宏慶応大医学部教授は「TIAは再発率が高く、しかも脳梗塞へと重病化しやすい。TIAの段階で生活習慣を改善し、予防薬の服用などの治療を受けてほしい」と早期対処の必要性を強調する。
 さらに、血栓は、脳梗塞だけではなく心筋梗塞や肺血栓塞栓症なども引き起こすため、TIAの患者はそれらの病気になる可能性も高い。いずれも、発作が起きると治療が難しく、死に至るケースが多い。
 血液や血管に関する一般向けの著作も多い東京医大八王子医療センターの高沢謙二教授は「詰まった場所が違うだけで、脳梗塞も心筋梗塞も肺血栓塞栓症も動脈硬化によって生じた血管の閉塞が原因。TIAが起きたら、心臓や肺などの循環器の専門医の診察も受けた方がいい」とアドバイスしている。



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静岡新聞